成長コラム One Point Column

Doing連載魅力経営のヒント
第15回目:経営者の魂は最大の経営資源(2010年10月号)
※PDFファイルのダウンロードはコチラから

■スピリット・シフトで経済とビジネスは変わる

ここ数年前から、貨幣経済(Monetary economy)から魅力経済(Light economy)へ「スピリット・シフト(Spirit shift)」が起き、今年2010年はその動きが表面化し始めました。

その現象のひとつが「企業の突然死」です。
それまで順調だった中小企業はもちろんのこと、有名な大企業でさえ、ある日突然、破たんすることも珍しくなくなりました。

経済のウラ側で一体何が起きているのでしょうか?
これから何が起きようとしているのでしょうか?

つい最近まで、経営で大事なことは「人・モノ・金・情報・時間」の経営資源の選択と集中でした。
武田信玄は「人は城、人は石垣、人は堀(勝敗を決する決め手は、堅固な城ではなく、人の力である)」と言いましたが、経営においても昔から「企業は人なり」と言い、最大の経営資源は「人」であることは当然のことでした。

しかし、これは今までの話し。これからの時代は、さらに、その人の「スピリット(意識の高さ、精神の成熟度、自己の認識度)」が最大の経営資源となります。すなわち「企業はスピリットなり」という時代が始まるのです。
従来の経営資源「人・モノ・金・情報・時間」だけで経営をしていたら、いくら能力の高い人たちを集めても、いくら高い技術を提供できたとしても、いくら収益をあげても、いくら経営努力をしたとしても、時代の潮流に巻き込まれ、思うように成果はあげられないでしょう。中には突然死をむかえる企業も少なくはないはずです。
では、これからのスピリット・シフト(Spirit shift)で経済、ビジネス、経営はどう変わっていくのでしょうか?

■経営資源としてのスピリット

今まではコーポレート・ブランディングやパーソナル・ブランディングが企業の盛衰を大きく左右しました。しかし、これからは「スピリット・グラウンディング(自らの魂を発動させ、ビジネスに魂の根を張り巡らせること)」が繁栄のカギを握るでしょう。

なぜ、「スピリット・グラウンディング」が重要になってくるのでしょうか?
それはここ数年で、ビジネスのテーマが変わってきたからです。

2001年までは「ビジネス・スキル」が会社を大きくしました。
2010年までは「ビジネス・マインド」が会社を有名にしてきました。
2011年からは「ビジネス・スピリット」が会社を魅力的にするでしょう。

2001年までは「ビジネス・スキル」である「マネジメント、ロジカルシンキング、戦略、戦術、ノウハウ、プレゼンテーション、セールステクニック、不労所得、経済的自由、成功…」などの、問題解決型の『現実』がテーマになっていました。

しかし、その反動でここ数年「ビジネス・マインド」にスポットがあたり「感動、ホスピタリティー、大好きなこと、起業、ワクワク、やりがい、幸せ、ライフワーク、夢、成長、自分らしさ、自己実現…」などの、理想追求型の『精神』がテーマとなりました。

しかしその後、精神側へ向かう力の反動によって現実側へと再び振れ、これからは、現実と精神のちょうど中間でバランスをとろうとするはずです。

2011年からは「ビジネス・スピリット」である「共感、共鳴、イノベーション、ビジョン、分かち合い、生きがい、こだわり、思いやり、つながり、奉仕、貢献、愛、志、進化、本質、使命、天命、自己超越…」などが経営の重要なファクターになり『現実性と精神性の融合』がテーマになってくるでしょう。

経営者のスピリットが目覚め、意識が高く、精神は成熟し、自己を深く認識できているほど、魅力的な経営者となっていきます。すると自然と新しい経営スタイルへとシフトし、それにあった「人・モノ・金・情報」が集まってきます。

もっとシンプルにいえば、経営者(=会社)に魅力があれば

・お金をかけなくとも素晴らしい人が集まってくる(給与不要で働く人も集まる)
・必要で質のいいモノが集まってくる(フリーでサービスを受けることも可能)
・自然と利益が出る(幸福第一主義の大きな幸せの小さな会社を実現できる)
・自然と質の高い情報が集まってくるようになる。

 

逆に経営者(=会社)に魅力がなければ…

・お金をかけないと、優秀な人材を集められない(たとえ入社しても、どんなにお金をかけても定着率は低くなる)
・お金をかけて、いいモノをそろえなければならない(環境を整えるほど、逆に社内の新たなる不満が出てきて、権利を主張するようになる)
・必死に利益を上げなければいけない(常に、最先端を走り高度な技術を開発したりして売れる商品や、他にはない独自のサービスを作りだしたり、それらなければ激しい営業をしなければならなかったり、売上第一主義の小さい幸せの大きな会社となってしまう)
・情報ツールを駆使して必要な情報を集めなければならない。

これが「貨幣経済(Monetary economy)」から「魅力経済(Light economy)」へのスピリット・シフト(Spirit shift)です。しかし、世の中から「お金」がなくなるというわけではありません。「魅力資本(Light capital)」が大きな影響力を持つようになるのです。

魅力資本(Light capital)とは、職場の雰囲気と空気、社員の絆と目の輝き、社員の生きがいと働きがい、顧客からの信頼と評価、ヴィジョンへの共感と共鳴、社会からの信頼と期待、未来への希望、人間的成長などです。

経営者(=会社)に魅力があれば、お金は必要最小限で経営することができます。
(魅力資本(Light capital)がなければ、貨幣資本(Money capital)が必要になる)
経営者(=会社)に魅力がなければ、多額のお金が必要になる経営になります。
(魅力資本(Light capital)があれば、貨幣資本(Money capital)が不要になる)

 究極的には、経営者がスピリット・シフトすれば、会社の売上が一切なくても経営が可能になります。現実として今年2010年に入って、一切売上をあげない会社が現れました。しかも、そこは社員が給料をもらうのではなく、逆に社長の給料を払うのです。全く新しいスタイルの会社ですが、設立以来ますます順調に経営をしています。

これからの時代は、スピリットが発動した経営者(=会社)の魅力こそが、最大の経営資源になります。経営者自らがスピリットを目覚めさせ、意識を高め、精神を成熟させ、自己を深く認識することが、時代の潮流に乗る秘訣なのです。

 

■モチベーションとテンションの違い

スピリット・シフトによって経営者に限らず、働くすべての人たちに今、ある課題が突き付けられています。それは「モチベーションのアップグレード(モチベーションのバージョンを上げること)」です。
近年「モチベーション」の重要性と認識が高まってきています。またモチベーションを高める心理学的なテクニックや、モチベーションを維持する脳科学的な手法まで一般的に広がってきました。
私自身もここ1~2年で特に、企業からの最初の依頼の半分近くが「経営陣とスタッフのモチベーションをあげたい」「モチベーションを下げずに維持したい」という要望をいただいています。しかし、経営陣と現場のスタッフの方々のお話を直接聞いてみると、大きなズレと溝が生じていることが多々あります。最大の原因は「モチベーション」を正しく捉えていないこと。多くの方が「モチベーション」を「テンション」と勘違いしているのです。

そもそもテンションとは、英語では「(精神的・感情的な)緊張や不安」の意味ですが、私たちが普段使っている「テンションが上がってきた」というような「やる気」という意味での「テンション」は和製英語です。
本来テンションとは「気分(感情)の波」です。テンションを上げて、何かを取り組むということは、「(高揚した)気分」の勢いで取り掛かるということです。

テンションを上げる方法はいくつもありますが、一言でいえば「非日常を体験する」ことです。一番カンタンなのは、大きい声を出すこと。「みんな~!がんばろ~!えい、えい、お~!」「おれたちはぁ、できる!ぜったい!おー!」みたいに毎朝円陣組んで大きな声を出す。またみんなの声に乗ることで、テンションは一気に上がります。その他にも、感動的なイベントに参加する。テンポの速い曲を大音量で聞いたり、リズムに乗って踊る。大きな成果をあげて周りからの称賛を得る。これらなどをすることによって、ハイテンションになり、その勢いで仕事に向かうことができます。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。テンションは波なので、上がれば、必ずその後には下がります。上がったまま維持することはできません。人によって時間は違いますが、早くて次の日、遅くても3日後には、一気にあげたテンションの後遺症があらわれます。
「なぜか、やる気が起きないなぁ。何もする気になれない」「何かよくわからないけど、心が落ち着かない」「昨日の自分はどこにいった?昨日はなんだったのか」など心に異変が表れます。すると多くの場合、再びテンションを上げようとします。気分を高揚させ、ハイテンションの状態に戻ることをします。例えば3日前にセミナーに参加してハイテンションになっていたのなら、その時のノートを見返して、その時の興奮を思い出したりとかです。それで確かにテンションは一時的に戻上がるのですが、すぐにテンションは下がります。しかも、以前よりも増して深く落ち込みます。そして再び、テンションを上げようと…。こうしてテンションのアップダウンを繰り返していくと、「自分はダメだ。自分にはムリだ」「才能もない。根性もない」「やっぱり今回も続かなかった…。向いてない」など強い自己否定に至る場合も少なくありません。こうなると、テンションの高い職場の上司や仲間には相談もできなくなり、本人のとる行動は、急に音信不通になったり、病気や家庭の事情を理由にメールや手紙だけで退社したりします。突然の行動に周りは驚くのです。「あんなに前向きで、頑張っていたのに」と。
多くの企業の中には、スタッフのモチベーションをあげようと、有名な講師を呼んで講演会や勉強会をしたり、演出された派手な大規模なイベントや表彰式を開催するなど、様々な取り組みをしているところも多いです。確実にテンションは上がりますが、数日後の社内の雰囲気は以前よりも悪化します。お金をかけたり、様々な手法を取り入れる割には、成果は上がらず、スタッフたちの気分が落ち込み、上がるのは離職率のみになるのです。
テンションとモチベーションの違い
一方、モチベーションとは「動機(やる理由、意義、意味)の腑に落ちる度合い」のことです。「何で、今の仕事を始めたのか」「そもそも、何のためにやっているのか?誰のためになることなのか?」「この仕事をすることで、どんな社会的意義があるのか?」「私がこの仕事をしている理由は何か?」「多くの会社がある中で、私はどうしてこの会社で働いているのか?」「今の仕事は私の人生にとってどんな意味があるのか」「この仕事を通じて、誰をどのように幸せにしているのか?」などの答えが、その時の自分なりに持っていることです。しかも単に頭で理解しているのではなく、腹にどれだけ落ちているか、骨身に浸み渡っているか、その度合いこそがモチベーションであり、行動の源泉(エネルギー)となるのです。
モチベーションは上がっても、下がることはほとんどありません。ただし、モチベーションである「動機」を忘れてしまうことがあります。しかし、その時は思い出せばいいだけです。するとすぐに元に戻ることができます。
本当のモチベーションは下がるのではなく、忘れてしまうもの。人は、手前や目の前にある作業に没頭してしまう(ロックオンしてしまう)と、「動機」を忘れがちになります(ロックアウトしてしまう)。モチベーションが高いと周りから思われている人は、情熱や才能や行動力があるのではなく、忘れない努力や思い出す工夫をしているのです。

モチベーションを上げる方法もいくつもありますが、シンプルなのは原点回帰と目的の明確化の2つです。原点回帰とは「そもそも何で今の仕事始めたのか?」その原点(初心)に戻ること(思い出すこと)です。
目的の明確化とは「何のために働くのか?」それを自分に問い続けることです。当然、すぐには腹に落ちるようなことはないかもしれません。むしろ、いくら自分に問いかけてみてもよくわからず、ぐるぐる同じような答えをまわっているように感じることもあるかもしれません。しかし問い続けることで魂のスイッチが入りやすくなり、あるとき、スッと腹に落ち、より上位のモチベーションへとバージョンが上がっていくのです。こうしてモチベーションはスパイラル上昇していきます。
実は、モチベーションにはいくつかの段階があり、この「モチベーションのアップグレード(モチベーションのバージョンを上げること)」ことこそが、スピリット・シフトをして、新しい時代の波に乗った経営をする重要なカギを握っています。

 

■スピリット・シフトによるモチベーションの変化

今年2010年7月に出版された、ある一冊の本が注目されています。その本は、日本だけではなく世界中の経営者がこぞって読んで、自社に取り入れていると言われています。それが、アル・ゴア元副大統領の首席スピーチライターをしていたダニエル・ピンク氏の著「モチベーション3.0 ~持続するやる気をいかに引き出すか~(講談社)」です。

ダニエル・ピンク氏のモチベーション3.0の講演がコチラ↓


↑うまく表示されない場合はコチラをご覧くださいhttp://www.ted.com/talks/lang/jpn/dan_pink_on_motivation.html

ダニエル・ピンク氏は多数の長年の調査と、大学での共同研究のデータをもとに「モチベーション(やる気)」には、3つの段階があると発表しました。

モチベーション1.0…生き残るために、しかたなくやる。
モチベーション2.0…報酬を得るために動く。人をアメとムチで動かす。
モチベーション3.0…自分の人生を自分でつくるためにやる。

今までの企業はモチベーション2.0で経営をし、経営者自らも自分の欲望を満たすために働いてきました。しかし、多様化する21世紀に入りモチベーション2.0では立ち行かなくなり、「企業の突然死」が相次ぐようになりました。その一方で、グーグル社を代表として、モチベーション3.0へアップグレードした経営者と企業は繁栄していっています。

と、ここまでダニエル・ピンク氏は「モチベーション3.0」の中で教えてくれていますが、実はモチベーション3.0の先に7.0まで合計7段階あります。

1.0…生活を維持するために最低限やる。
2.0…得するため、損しないために損得でやる。
3.0…やりがいを求め、自己実現したいからやる。
4.0…愛と感謝で動き、人に喜ばれるのが嬉しい。
5.0…生きがいを求め、使命として取り組む。
6.0…ヴィジョンから来る直感で動き、天命として動く。
7.0…一切の行動理由がなく、あるがままでいる。

という7段階です。モチベーション1.0からアップグレードしていく中で、一番厚いカベになっているのが、3.0と4.0の間です。
1.0~3.0が自己都合(好き嫌い、利害損得、勝ち負け)で生きて、自力で働く世界。
4.0~7.0が自己都合を超えて生きて、他力が働く世界です。

1.0から7.0へより上位にアップグレードしていくほど、幸福度、周りや社会への貢献度、影響度などが高くなり、他力がより働くようになります。他力が働くとは、カンタンに言えば、周りから助けられたり、応援されたりするということです。

「スピリット・シフト(Spirit shift)」とは、経営者のモチベーションが4.0以上にアップグレードすることです。そしてスタッフも4.0へとジャンプするお手伝いをするということです。すると、経営者の発動した魂から魅力の光が放ち、会社には魅力資本(Light capital)がたまり、関わる全ての人たちに幸せが広がっていくのです。
スピリットシフトの7つのステージ

■スピリット・シフトした呉服店

以前から、応援させていただいている企業様の中に、東京の表参道にある呉服店「ゑり華」があります。呉服業界は2兆円産業であったピーク時から、現在は3000億円を切るぐらいの市場にまでなってしまいました(ユニクロ1社の売上の半分以下の規模)。
呉服店と問屋さんの突然死が相次ぐ中で「ゑり華」は順調です。他のお店がどんなに集客を頑張ってもままならない中で、「ゑり華」は遊びに来るお客様で日々にぎわっています。単に来店するだけではなく、みなさんオススメの自慢の一品(お土産)を持参します。中には、お土産だけおいて「用事があるから」といってすぐに帰るお客様もいるほど。さらに、お客様が「ゑり華」のことを語る時、まるで自分のお店のように熱くなっています。スタッフのことを語る時、まるで自分の家族のことのように目を輝かせています。
代表の花岡隆三さんは、ライバルであるはずの同業店と勉強会を開き、自分たちがしていることや効果のあったチラシやイベントノウハウなどを惜しみなく全部教えています。そのおかげで、九死に一生を得たお店も少なくありません。

 先日、そんな「ゑり華」創立10周年の研修をさせていただきました。その中で驚いたのは、勤続10年のスタッフが3人もいること。そのうちの一人が嬉しそうに「あっという間の10年でした。この10年間の中で、一度もお店に出たくない日はありませんでした。毎日が本当に楽しい、あっという間の10年でした。」と語ってくれました。これも経営者である花岡隆三さんのスピリットによるものでしょう。
そんな花岡さんが、今後の10年に向けて、スタッフにこんなことを発表していました。

========================================
※2008年6月号 はなとりゅう(ゑり華が毎月発行しているニューズレター)より

<ゑり華のミッション>
私たちは、着物を通して潤いのあるライフスタイルを提案し、素晴らしい日本の伝統と文化を継承していくことを使命と考えています。
↓ ↓ ↓
<ゑり華の想い>
豊かな時間がうまれ、幸せな時間があふれ、楽しい思い出がふえる。
そんな素敵に歳を重ねるお手伝いをゑり華はいたします。

長い間掲げてあった「ゑり華のミッション」が、先月から内容はそのままタイトルだけが変わり、いよいよ今月から内容も変わりました。金沢から独立して丸7年が経ち、8年目を迎える昨年の秋から、今後のゑり華についてスタッフ全員で考えてきました。

 お客様が心から望んでいることは何だろうか。
我々が心から望んでいることは何だろうか。
お客様の本当の喜びは何だろうか。
我々の本当の喜びは何だろうか。
お客様の目からゑり華は、どう見えているだろうか。
お客様の目から我々スタッフは、どう見えているだろうか。

 この問いかけに、我々は長い時間をかけて、ゆっくりと話し合ってきました。
「お客様から何と言っていただけると嬉しい?」という問いかけから始まり、スタッフから沢山の言葉が出てきました。それを一つの文章にまとめたのが上の「ゑり華の想い」です。
ゑり華と出会って「豊かな時間がもてたね、幸せな気持ちになれたね、楽しい思い出がふえたね」って言っていただけるお店にしたい!そう言っていただけるお付き合いがしたい!我々ゑり華スタッフは、その思いで一つになりました。
今後は、お店の商品も、お店の催事も、お店のイベントも、スタッフの接客も、仕立てやクリニックに至るまで、すべてその気持ちで見直していきます。
我々ゑり華スタッフが、貴方に何をお手伝いできるか、一生懸命に考えて、考えて、考えて、そしてひたすら実行してゆきます。
新しい「想い」を得て、生まれ変わった気分です。貴方と一緒に楽しい思い出を増やしていきたいです。
________________________________________
<今後10年に向けて>

ゑり華のミッションから、ゑり華の想いに変わったのが2008年6月からでした。
その前年の2007年10月14日、小田真嘉さんとの出会いがあり、その後ゑり華のコンサルをして下さるようになった時、真っ先に指摘されたのが、この「ミッション」でした。私がお客様に訴えていたことは、この素晴らしい日本の伝統文化を残したい、という私の想いでした。お客様不在のメッセージをお客様に発信し続けていたのでした。
以前の私はそのおかしさに一切気が付かず、素晴らしいミッションだと思っていました。
小田さんと話す内にそのことに気づかされました。そしてスタッフみんなで新しいゑり華の想いを作り上げました。この時からゑり華はもう一歩新しいステージに進み始めました。

金沢から独立して今年で10年、皆さんのお陰でとても良い店になりました。先日のイベントでI様に「ゑり華が無くなったら困る」と仰っていただき思わずジーンと来るものがありました。
では、次の10年、20周年を迎えた時の事を想像(妄想)してみましょう。我々スタッフ一人一人がそれぞれのポジションで、お客様を応援したり楽しませたり喜ばせたりすることが大好きで、暇さえあればアイデアを考えて実行することができたとしたら…
お店はどんなお店になっているのでしょうか。
我々はどんなステージに立っているのでしょうか。
きっと凄いことになっていると思うのです。

平成22年8月24日 青山 ゑり華 花岡 隆三
========================================

 「ゑり華」は魅力的で、愛されているお店です。それが加速したのは「自分たちの想い」を明文化してからだと思います。
今は、「自分たちの想い」を『クレド(credo:信条を意味するラテン語で、企業の信条や行動指針を簡潔に記したもの)』として導入する企業が増えています。確かに自分たちの想いを深めていくことは非常に重要なのですが、実はここによく陥ってしまいがちな大きな落とし穴があります。それは、お客様に迎合し過ぎて、信念を失ったり、スタッフが振り回されすぎて、自分たちが不幸になってしまうことです。
「スピリット・シフト」した魅力経営をするには、2つの核(内側の核と外側の核)が必要なのです。
こだわり(会社が幸せになるために信念を貫く)という内側の核。
思いやり(顧客が幸せになるために愛念で動く)という外側の核。

こだわりだけなら愛を失い、誰かを傷つけてしまいます。
思いやりだけなら己を失い、周りに流されていきます。

こだわりと思いやりを一致させたとき、「自分(自社)の幸せ+相手(顧客)の幸せ=魅力経営」となります。

実は、先ほどの「ゑり華の想い」が生まれるに至った「問い」にこそ、未来を切りひらくために、企業が進むべき方向を指し示す『スピリット・コンパス(魂の羅針盤)』となります。これを「スピリット・コンパスを発見するための5つのステップ」として、まとめたのが以下です。
_____________________________
<スピリット・コンパスを発見するための5つのステップ>
1.以下を思いつく限りリストアップしてみる。
1)お客様が心から望んでいることは何だろうか?
2)我々が心から望んでいることは何だろうか?
3)お客様の本当の喜びは何だろうか?
4)我々の本当の喜びは何だろうか?
2.1)~4)まで、それぞれの項目ごとに3つずつに絞り込む。
3.1)と3)を合わせて「思いやり」を3つに絞り込んで、それを1つの文章にまとめる。(難しい場合は、単純に「~で、~で、~です。」とつなぐだけでもOK)
4.2)と4)も3と同様に合わせて「こだわり」を3つに絞り込んで、それを1つの文章にまとめる。
5.最後に3と4をひとつの文章にまとめる。(難しい場合は、同様に単純に「~で、~で、~です。」とつなぐだけでもOK)
_____________________________

 「スピリット・コンパス」は、どんな業種の企業でも、どんな組織でも未来をひらく経営の道標になります。「スピリット・コンパスを発見するための5つのステップ」は、理想はスタッフ全員で取り組むことです。しかし、現状なかなか難しい場合は、まずは意欲が高く、自ら手を上げるモチベーション3.0以上のスタッフと始めることです。
こうして発見した「スピリット・コンパス」を信じて、社内の仲間の人生とお客様の人生にスポットライトを当て(意識を向け)ながら、日々、目の前の仲間やお客様に接していきましょう。
「仲間やお客様の人生がより豊かになるために、より幸せな毎日になるために、私は何ができるか?」と自らの魂に問いながら働いていると、胸の奥がじわっと熱くなっていきます。そのとき、ふっとアイディアがひらめいたり、知恵が湧いてきます。それを、できることから即実行し、起こる問題は即改善し、良いことを積み重ねていくことです。
すると「スピリット・コンパス」自体が進化していき精度は高まり、さらに自分たちが進むべき方向へと導いてくれます。その時モチベーションは自然と4.0⇒5.0⇒6.0とスピリット・シフトし、発動した魂から放たれた光が、進むべき道を明るく照らしてくれることでしょう。



現役歯科医師による歯科医院の為の経営マーケティングクラブ「Doing(ドゥーイング)」
小田真嘉の「魅力経営コラム」2010年10月号より