成長コラム One Point Column

Doing連載魅力経営のヒント
第3回 成長する組織(チーム)の原則 (採用編) (2014年9月号)
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■成長する組織をつくる3つの原理

「成長する組織(チーム)」と「停滞している組織」には決定的な違いがあり、成長する組織(チーム)には、いくつかの共通点があります。なぜなら、どんな組織にも、自然界の原理原則が働いているからです。

温かいコーヒーを置いておけば、しだいに冷めていくように、チームメンバー(スタッフ)を放置していたら、意欲(やる気、情熱、優しさ)は失われていき、組織は崩壊していきます。
部屋を掃除しなかったら、しぜんと散らかっていくように、組織づくり(チームビルディング)をしなければ、それぞれが勝手なことをし始め、秩序は乱れ、人が離れていきます。
これは、熱力学や統計力学で言われる「エントロピー増大の法則」です。

全国にある会社の7割は、赤字と言われています。
エントロピーの観点から言えば、組織はしだいに衰退していき、会社は倒産するのが自然の流れです。
その流れに逆らって、成長する組織をつくるということは、それ相応のエネルギーを注ぎ、知恵をふり絞り、工夫改善を続けていくことが必須になります。
しかし、逆に言えば、成長の原理原則に乗れば、組織は生まれ変わり、成長し続けることが可能です。

もともと、私(小田)が、コンサルの道に入ったのは、急成長するチームをつくるための組織コンサルティングがはじめでした。それから10年弱が経ちましたが、今まで数えきれないほどの組織(チーム)と関わってきました。
その中で経験的に見えてきた「成長する組織をつくる原理原則」を3つに絞ってお伝えします。その3つとは
1.採用の原則(スタッフ募集、面接、雇用)
2.育成の原則(スタッフ教育、チーム作り)
3.繁栄の原則(ファン作り、しくみ作り)

今回は、「採用の原則」をお伝えしていきます。

 

■すべては「人」で決まる

当然のことながら、成長する組織は、成長する人たちによってつくられます。
逆に、自分のことしか考えていない人、省エネモードで必要最低限のことしかしない人、向上心がない人、そんな人たちがいれば、組織はカンタンに衰退していきます。
成長する組織をつくるには、成長している人、成長意欲のある人を採用することです。

猫の手も借りたいほど忙しいから切羽詰まって、ふさわしくない人を採用してしまったら、その後がとても大変です。経費も時間もエネルギーも莫大に費やすことになります。むしろ採用しなかったほうがマシ、ということもあります。
もしくは、採用しなくても自分だけでできるからといって、一人ですべてを抱え込んでいたら、いつまでも新たなる成長もありません。さらに救えるはずの動物たちを救えず、困っている飼い主さんの力になれないこともあるでしょう。

そうは言っても、採用に力を入れても、いくらお金を使っても、いい人が来ない。
もしくは、いい人だと思って採用しても、期待を裏切られてしまった…。
そんな採用の失敗は、少なくありません。
なぜ、採用がうまくいかないのか? それには、決定的な理由があります。

それは、採用を運任せにしている、もしくはギャンブルのようにやっているからです。
ただじっと待っていても、いい人はやって来てくれません。
高いお金を払って求人広告を出しても、いい人は採用できません。

優秀な人、人から好かれる人、成長する人など、いい人を採用するには、まずやるべきことがあります。それは、自分たちが求める理想の人を、みんなで話し合うことです。

「どんな人がいてくれたら、助かるのか(嬉しいのか)?」
「たとえスキルや知識があっても、一緒に働きたくない人は、どんな人か?」
「そもそも、どんな組織(チーム)にしていきたいのか?」

それらをちゃんと話し合うことで、目指す組織イメージ(向かいたいゴール、大切にしたいスタンスやルール、理想の働き方)が明確になっていきます。
それと同時に、今のメンバー同士の理解が深まり、信頼関係(共感、絆、つながり)が深まっていくのです。
実は、このプロセスこそが、成長する組織づくりになります。

 

■知らなかったら、選べない

採用する方法としては、知人・スタッフからの紹介、医院内に「スタッフ募集」の張り紙、ハローワークに登録、フリーペーパー・タウン誌に求人広告、人材紹介会社に依頼、インターネットの求人サイトにエントリー、高校・大学・専門学校などの就職課へのアプローチ…、などがあると思います。
そして、それらに記載する(伝える)「募集要項」には、雇用形態、給与・賞与、諸手当、労働時間、福利厚生などを表記するのが一般的でしょう。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。どんなに条件を良くしても、それだけでは、求めるような良い人は採用できないということです。
条件を良くするほど、むしろ自分勝手な人、自分の都合だけを優先する人、一緒に働きにくい人が来るかもしれません。

しかし、それは、来てくださった方が悪いのではなく、金額や労働時間などの条件でしか選べないような募集をした、こちら側の問題でもあります。逆に言えば、通常の募集だけでは、来て欲しいような良い人には、見つけてもらえなかった、知ってもらえなかった、選んでもらえなかった、ということです。

良い人に選んでもらうには、スタッフ全員で話した組織イメージ(向かいたいゴール、大切にしたいスタンスやルール、理想の働き方)を、思い切って公開・宣言することです。

・私たちは、どんなことを大切にしているのか?
・どんな人と一緒に働きたいのか?
・どんなに優秀でも、一緒に働きたくない人、私たちの組織に合わない人。
・仕事を通じて、どんなことを一緒に体験したいのか?

それらをホームページに載せたり、医院内の待合室などに大きく貼る、直接語ることです。
どんなにいい組織でも、組織の内情やメンバーの思いを知らなければ、給与が多い、勤務時間が短い、休みが多い、家から近いなどの、物理的な条件で、選ぶしかありません。
だからこそ、自分たちに理想や具体的なイメージを伝えるほど、それに近い人がやってくる確率は高まります。

また、自己開示することも、とても重要です。

・自分はどんな生い立ちなのか?
・なぜ、獣医になり、動物病院をはじめたのか?
・趣味や好きなこと、マイブームは、何か?
・何を大切にして、どんな気持ちで、日々働いているのか?
それら、自分のことを思い切って伝えることで、共感が生まれます。

上薬研究所の田中社長は、このニューズレターを通じて、マラソンの話などを熱く、ずっと自己開示を続けていらっしゃいます。動物用サプリメント・メーカーで、上薬研究所のような会社は皆無でしょう。
そして、先生ご自身も共感するところがあるからこそ、こうしてこのニューズレターを読まれているのだと思います。

 

■いい人材を見極める2つのポイント

応募があったら、次は面接です。この面接で、一緒に成長していける仲間になれるかどうかを判断しなければなりません。
いい人材を見極めるには、ポイントが2つあります。
それは「働き好き」かつ「人好き」であることです。

仕事に熱心になれない人は、成長しません。どこかで頭打ちになります。
人に興味関心が無い人は、助けあったり、チームプレイができません。どこかで信頼されなくなります。
人に無関心で、仕事好きの人は、知らないうちに人を傷つけたり、問題を起こすこともあります。
人に興味関心があっても、仕事嫌いなら、好き勝手なことをして、迷惑をかけてしまいます。

働くのが好きではない人を、教育して仕事好きにするのは、大変です。
人に無関心な人を教育しても、人好きにするのは、極めて困難です。

特に、『人好き』というのは、組織の成長と、永続的な繁栄においては、とても重要なことです。
私自身、全国の歯科医院のサポートをしていて、何度も相談を受けることがあります。
それは、ドクターが患者さんの名前や顔をはじめ、どんな方なのかを覚えてない。しかし、歯を見れば思い出す。つまり「歯を見て、人を見ず」。人に無関心なのです。そんなドクターは、患者さんとのコミュニケーション・ギャップが常にあり、しぜんと患者さんが離れていきます。しかも、それだけでなく、共に働くスタッフとの心のキョリも大きくなり、組織が衰退していくのです。

だからこそ、面接の段階で、「働き好き」かつ「人好き」であるかどうかを見極めることが大事なのです。
そのためには、いくつもの方法があるのですが、今回はある効果的な質問をご紹介します。
働き好きかどうか、ある程度見極めるには
 「今まで、100%全力で頑張ったと思う経験を、3つ教えてください」
と質問してみること。
過去の経験を3つ聞けば、その方の努力の基準、どれぐらい努力ができる方なのかを知ることができます。そして、実際に一緒に働いたときの働きぶりも、ある程度予想することができます。

次に、人好きかどうか、ある程度見極めるには
 「今まで、人のために一生懸命になった経験を、3つ教えてください」
と質問してみること。

人に無関心だったら、人のために一生懸命にはなかなかなれません。それでも、ひとつぐらいだったら、挙げられるかもしれません。しかし3つとなると、そうすぐには思い浮かばないでしょう。
また、その話しを聞けば、本当に人に関心があるかどうか、分かるはずです。

 

■理想的な採用をするため

今まで、多くの組織と関わってきて、成長し続けている組織に、ある共通点が見えてきました。
それは、もともとのお客さまが、憧れて入社してきていることです。
動物病院で言えば、飼い主さんが「私も一緒に働かせてください」と、スタッフとして加わるということです。

それぐらい喜ばれるような働きがいのあるいい仕事をしている、魅力的な組織になっているということです。

すなわち、いい人を採用するには、まず自分たちが、仕事好き、かつ人好きで、懸命に働くこと、いい組織をつくることこそが、王道であり、一番の近道なのです。


上薬研究所「地域で愛される動物病院作りのお手伝いをするコミュニティーレター」
(全国の動物病院3300部発行)
小田真嘉の「信頼と共感の経営」連載コラム 2014年9月号より